Q&A

1.電気自動車を取り巻く状況について

Q1.東京都の環境施策について教えてください。

 東京都では2050年までにCO2の実質排出量をゼロとする「ゼロエミッション東京」を掲げております。
 そして、その実現には2030年までの10年間が極めて重要であり、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減(2000年比)する、
「カーボンハーフ」を表明するとともに、この実現に向けて、2019年に策定・公表した「ゼロエミッション東京戦略」をアップデートし、取組を加速させています。

Q2.Q1について、電気自動車の普及に向けた充電インフラの整備に関し、
  どのような具体策がありますか?

 東京都では、2030年までに都内で新車販売される乗用車を100%非ガソリン化し、その内50%をZEV※にするという目標を掲げております。そして、ZEVの普及を後押しするために、電気自動車等用の充電器の普及促進を行っております。具体的には、2025年4月から、一定程度を超える規模の駐車場を持つ都内新築建物について、充電器の整備を義務化致します。また、2030年までに既存住宅を含め都内集合住宅に6万基の充電器を設置するという目標を掲げ、補助事業やセミナー等、様々な支援策で充電器の普及を後押ししております。※ZEV:Zero Emission Vehicles:排出ガスを一切出さない、あるいは排ガスが極めてクリーンな自動車を指します。具体的にはハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、クリーンディーゼル車、燃料電池車を指します。

2.東京都の補助金について

Q1.充電設備の設置に関して、東京都で補助事業を行っていますか?

 東京都では集合住宅における充電設備設置に関し、「充電設備普及促進事業(居住者用)」を実施しております。概要は以下のとおりです。国の補助金と併用することで、ほとんど費用負担なく設置できる場合があります。

Q2.「充電設備普及促進事業(居住者用)」に上限はありますか?

 設置台数の上限はありません。ただし、Q1にもあるとおり、助成額には1基ごとの上限が定められております。
 詳細については、以下のリンク先をご確認ください。
 ≪クールネット東京「充電設備普及促進事業(居住者用)」≫
 https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/res-evcharge

Q3.「充電設備普及促進事業(居住者用)」はどのように申請できますか?

 申請方法については、以下のリンク先をご確認ください。
 ≪クールネット東京「充電設備普及促進事業(居住者用)」≫
 https://www.tokyo-co2down.jp/subsidy/res-evcharge

3.充電器の設置について

Q1.設置基数の目安はありますか?

 マンション居住者の充電設備の導入ニーズを踏まえて導入計画を作成することをお勧めします。東京都では2030年の都内におけるZEVストックを乗用車全体の14%程度と予測しております。この予測を踏まえると、駐車場の20%が目安になると考えられますが、各マンションの状況に応じて検討されるのがよろしいかと思います。

Q2.普通充電器と急速充電器の違いは何ですか?

 普通充電と急速充電の違いは充電速度(出力)です。急速充電は、一般的に10kW以上の出力を指し、より高い電圧と電流を流すことで、普通充電器より短い時間で充電できます。また、普通充電器は、一般的に3kWのタイプと、6kWの倍速充電器を含むことがあります。

Q3.普通充電器と急速充電器は、どちらが住宅に適していますか?

 住宅に適しているのは普通充電器です。普通充電器は急速充電器より充電時間はかかりますが、設備導入費用や維持管理費用の負担が少なく、長時間駐車する住宅や事務所、宿泊施設等への設置に適しています。また、普通充電器は大きく分けて壁付けコンセントタイプとスタンドタイプの2種類があります。

Q4.充電設備設置時の確認ポイントは何ですか?

 充電設備の設置台数は既存受電契約の電気容量や、設置する充電器の必要容量によってマンションごとに異なります。なお、電気事業法の改正により、充電設備については既存受電契約とは別に専用の電気契約を別途結び、電力会社の配線から充電器専用の受電ができるようになりました。これにより、既存受電契約の電気容量に余裕がない場合でも、設置できるケースがあります。

Q5.充電サービスを利用したいですが、どこに相談すればよいですか?

 近年、充電設備の相談から設置、運用までトータルでサービスを提供する事業者が増えてきています。電気自動車の充電は、利用者ごとに使用時間・使用回数が異なります。そのため、厳密に受益と負担の関係を明確にしたい場合には、「誰が」「どのくらい」充電をしたかの実績を記録するためのシステムが必要となります。そこで、こうした事業者を選定することで、料金の徴収や運用面で管理組合の負担を軽減することも可能です。具体的にどのようなサービスを提供しているかは事業者によって異なる場合があります。
 また、東京都では充電事業者のサービスを比較できる一覧表を作成しておりますので、併せてご覧ください。

4.管理組合内での進め方

Q1.充電設備の設置に当たって、総会での議決は必要ですか?

 充電設備の設置にあたって、充電設備の利用方法や料金の徴収方法等の費用負担の取り決め、充電設備設置工事の実施及び駐車場使用細則等(必要に応じて管理規約や細則を含む。)の変更等についての総会決議を行う必要があります。なお、充電設備の管理規約上の位置付けや総会による決議の方法等は各集合住宅の管理組合の判断となります。

Q2.どうすれば住民全体の合意を得ることができますか?

 充電設備の利用者が費用を負担する受益者負担の仕組みを構築することで、電気自動車を利用しない住民の合意を得られやすくなることが考えられます。近年では、設置だけでなく、料金徴収の仕組み等を提供する場合もあります。そういったサービスを活用することで、充電事業者が提供するアプリ等を用いて、利用者が使用した分の利用料金を支払うことができ、受益者負担を明確にすることも可能です。     また、総会での説明など、合意形成のサポートを提供する充電事業者もあります。

5.運用・維持管理について

Q1.充電設備の利用料金はどのように徴収すればいいですか?

 費用負担については、駐車料金に定額を上乗せする方法等があります。また、最近では充電器の相談から設置、運用まで一連でサービスを提供する事業者が増えてきており、アプリ等を通して利用者が使用した分の料金を徴収するサービスを提供する業者もあります。

Q2.充電設備を共用とする場合、どのような運用にすればいいですか?

 充電設備の利用方法について、ルール作りをする必要があります。例えば、充電設備の予約や使用状況の確認ができるアプリ等を提供している充電事業者のサービスを利用する方法があります。

Q3.充電設備の維持費はどのくらいかかりますか?

 普通充電設備の場合、コンセントタイプ、スタンドタイプのいずれも特別なメンテナンスは不要とされています。しかし、日常的な清掃はマンション側で行うことが望ましいでしょう。
 ケーブルが含まれるスタンドタイプでは、使用頻度によってはケーブルや接続口の破損等もありますので、4~5年に1回交換できるような予算を確保するとよいでしょう。

6.その他

Q1.今後、電気自動車は普及するのでしょうか?

 国は2035年までに国内の新車販売台数の100%を電動車に、東京都でも2030年までに都内で新車販売される乗用車を100%非ガソリン化するという目標を掲げています。また、自動車会社でも電動車のラインナップを充実させる動きもあり、官民一体となって普及に向けた取り組みを行っていくことで、今後急速に普及することが考えられます。

Q2.なぜ新築建物に充電器の整備を義務化するのでしょうか?

 東京都では、2030 年までに乗用車の新車販売台数に占めるZEV割合 50%を目標に掲げ、ZEVの普及拡大を積極的に後押ししており、近年、自動車メーカーにおいても新たにZEVを開発する動きが活発化しています。
 ZEVの本格的な普及が見込まれる中で、今後新築する建物において充電設備が未整備であった場合、将来的に後工事によって追加費用負担や環境負荷(騒音、建設副産物等)が発生することが避けられません。
 こうした観点から、これから新築される建物における充電設備の整備基準を定め、将来のZEV普及の社会を見据えた充電設備の整備を促していくこととしました。

Q3.充電器の整備の義務化に関し、整備基準を教えてください。

 大規模建築物(延床面積2,000㎡以上)を対象とする建築物環境計画書制度では、制度の対象となる建築主に、建築物を新築する際、5台以上の専用駐車場を有する場合にあっては、駐車区画数の20%以上の充電設備(上限値10台)及び駐車区画数の50%以上(設備設置区画を含む)の電気自動車充電設備を設置するための配管等を整備(上限値25台)し、1台以上の共用駐車場を有する場合にあっては、1台以上の充電設備及び駐車区画数の20%以上(設備設置区画を含む)の電気自動車充電設備を設置するための配管等を整備(上限値10台)することを義務付けています。
 また、戸建住宅を含む中小規模建築物(延床面積2,000㎡未満)を対象とする建築物環境報告書制度では、制度の対象となる建物供給事業者に対して、駐車場を有する戸建住宅を新築する際、電気自動車充電設備を設置するための配管等を整備し、10台以上の駐車場を有する集合住宅等を新築する際には、1台以上の充電設備を設置することを義務付けています。